表具用紙の貼り方
表装と額装
表具用紙の表装の技法には、これが絶対の方法というのはなく時代の変遷とともに合理化・省力化され、新しい材料を利用しながら表具師が研究応用して今日に至っています。
表具の方法
■ 手打ち表装
全てを手作業で行い、でんぷん糊を用いれば将来の仕立て直しが可能です。主に文化財や高価な作品に用いられます。
■ 機械表装
裏打用紙に加工してある化学接着剤を、プレス機を使い高熱で接着剤を溶かして表装する方法です。
安価に仕上がりますが、水で溶けるデンプン糊と違い将来の仕立て直し修復は極めて困難です。
表装用裏打紙の種類
■ 肌裏用紙(本紙の裏打ち)
手すき紙では薄美濃紙や美栖紙が用いられますが、現在は機械すきロール紙が多く使われます。
厚みは薄口、中肉が一般的です。
■ 総裏用紙
手すき紙では宇陀紙が用いられますが、現在は機械すきロール紙が主流です。
厚みは中肉、厚口が使われ楮入りの高級なものも好まれます。
額装用裏打紙の種類
鳥の子紙などの厚手の紙が用いられます。額装で展覧会に出展し陳列後に掛け軸にする場合がありますが、その場合は一度はがして表装用に裏打ちしなおす必要がありますのでプレス機は用いず手打ちで行います。
個人で小さな作品を裏打ちする場合
小さな作品を額装する場合は額装用糊付裏打紙でアイロンを使って裏打ちするのが手軽です。
1.作品のばし
- 水をよく吸う紙(新聞紙や書道用紙がど)の上に作品を裏返して乗せ乾燥させます。
- 全体に均一に霧吹きします。
- 霧吹き後、シワが生じない程度まで乾燥させます。(10~15分)
2.額装用糊付裏打紙の貼り合わせ
- 熱に耐えれる台を用意し、書道用下敷きなどを広げます。(新聞紙は活字が作品にうつる場合があります)
- 霧吹きした作品を裏返したまま、書道用下敷の上にシワにならないように置きます。
- 作品と同サイズか大きめの裏打ち用紙を準備し、糊面を作品に合わせて重ねます。
3.アイロンがけ
- 中~高(約130℃)の温度で全体を均一にムラなく押えます。(スチームはかけないでください)
- 糊付けが確認出来たら、熱が下がるまでそのまま待ちます。
4.仕上げ
- シワや接着不良がある場合は、裏からアイロンをかけ修正します。
- 余分な部分をカーターナイフで裁断します。
※化学糊の為やり直しが出来ませんのでご注意ください。